「勝訴ストリップ」を数年ぶりにかけてみた。
椎名林檎が出てきた頃は、耳障りなノイズのような歌声が嫌いだった。
アジア系女性の黄色い声の音域が元々、とても苦手だったので。
しかし、その歌声を聴く度、そこに篭められたものに惹かれるようになった。
新宿なんて、私にとっては風情のない汚い街に・・・憧れる田舎娘的な野暮ったさも含めて。
強い想いを篭めるだけでなく、それを100%以上で伝えようとする根気と技術。
ただ切なさだけが、私達の20代前半を彩る一部となって、想い出と共に残った。
当時アンダーグラウンド的でさえあった古典的日本語を利用した歌詞表現。
まだ洋楽賛美・北米賛美が強く残っていたあの頃に、インパクトを残しただけではなく、
それは多くの日本人が少しずつアイデンティティを見直し始めた時期とも重なり、時代が求めたものを林檎は鋭敏な感性で認識し与えたようにも思える。
勿論、メンタル系と云われるような鋭敏すぎる感性を持ってしまった男女にも。
彼女は受容し、そして届けようとしていた。
そして高度な音楽性はアルバム一枚飽きさせることを知らない。
幅広い表現手法。
最高にオツなアーティスト達とのコラボレーション。
(余談。斉藤ネコとかアニメのBGMでかかってたときから好きで、Xjapanの曲でも弾いていてゼッタイ美女だと思っていたけど、椎名とコンサートしていた実物がかわいいオジサンでビビった・・・)
出産以降の椎名林檎も、艶があって好きだ。
しかし、久しぶりに聴いた「勝訴ストリップ」。
最初きらいだったこの声。
今の私には、なんとも悲しい声の持ち主だろうと思えてならなかった。
薄幸そうどころではなく、不幸にしかなれないような。
豊かとは遠い、愛されることを信じさせてもらえなかった女の子の声。
美人には生まれなかったから、なにもしなければ自分を見て貰えないから、
感性の切っ先を美しく研ぎ澄ませて、誰も追いつけない素敵を纏って、叫んで、呼ぶ声。
痛くて美しくて悲しくてあまりに心地いいのです。
ありがとう、椎名林檎。